ロタウイルスとは?

ロタウイルスとは?

1月初旬から乳幼児の間で流行するのが、ロタウィルスによる腸炎です。発展途上国では乳児死亡の主な原因の一つです。

潜伏期間は4872時間。

嘔吐物や下痢便にウイルスいます。

便には約10日間ウイルスが排泄されます。

生後6ヵ月から2才までが好発年令で、重症化しやすいのは幼若乳児で、脱水や高熱が見られる場合があります。乳幼児が胃腸炎で入院した場合、その約半数がロタウイルスによるものと言われています。それ以外の年令でも発病しますが一般に軽症です。毎年冬に発病のピークがあります。ヒトに感染することがわかっているのはA,B,C群の3者で、一般にロタウィルスといえばA群をさし、B群は以前に中国で流行しましたが日本ではみられません。C群ロタウィルスによる腸炎は主に3才以上の年長児や成人にみられ、A群のような大規模な流行は殆どありません。それぞれの群には一度かかると終生免疫がつきます。

1歳までに3人に1人の子どもが感染し、冬から早春にかけて流行します

赤ちゃんは免疫力がまだ弱く、胃や腸も未発達。そのため、感染性胃腸炎によくかかります。なかでも小さな赤ちゃんがかかりやすく、毎年冬から早春にかけて流行がみられるのが、ロタウイルス胃腸炎です。一度かかっても、繰り返しかかってしまうことも。初めて感染したときに重症化しやすく、リスクが最も高いのは、ママからの免疫がなくなる3~6か月頃で、特に注意が必要です。5歳までに、ほぼ100%の子どもが一度は経験すると言われています。

症状は?

ロタウイルス胃腸炎の症状は、突然の激しいおう吐と米のとぎ汁のような水様性の白色下痢を繰り返すのが特徴的で、発熱を伴うこともあります。さらに、下痢やおう吐のため大量の水分を失い、脱水症状を呈するときには点滴治療や入院治療が必要な場合もあり、けいれんや意識障害、腸重積症の合併症をきたすこともあります。また、ロタウイルスは脳炎・脳症の原因の第3位で、脳炎・脳症になると後遺症が残ることもあります。

 

     【小児の急性脳炎・脳症の原因】

    1. インフルエンザウイルス    25%

    2. 突発性発疹症の原因ウイルス  11%

    3. ロタウイルス         4%

    4. ムンプス(おたふくかぜ)ウイルス 3%

 

ロタウイルスの下痢便です。写真をクリックすると拡大します。

ごくわずかなウイルスで感染する強い感染力です

たとえばコレラ菌なら、発症するのに必要な菌数は数百万個ですが、ロタウイルスの場合はごくわずかな数のウイルス粒子で赤ちゃんが胃腸炎を発症すると言われています。また、環境にも強く、乾いた場所なら10日間ほど生きていますし、インフルエンザとは違い消毒用のアルコールにも強いウイルスです。そのため、家庭や保育所で「排泄物を処理するときは使い捨て手袋をはめる」「排泄物が付着した衣類や寝具などは消毒後に洗濯」「排泄物処理後は除菌効果のある石鹸で手洗いをする」などを徹底しても、残念ながら完全には防ぎきれないのが現状です。また、下痢の症状がなくなっても、便中にウイルスの排出が続いているので、外出はしばらく控えるのがよいでしょう。

診断は?

便による迅速検査で診断できます。

対処法は?コチラ

ロタウイルス胃腸炎は保護者の方も大変です

赤ちゃんがロタウイルス胃腸炎にかかると、保護者にもかなり負担が。入院すれば家族の付き添いが必要となるケースが多く、入院はしなくても、家で看病をするため何日も仕事を休まなければならなくなります。「汚物の付いた衣類等の消毒・洗濯」「入院したとき、発病していないほかのこどもたちの世話をしてもらう人を探す」など、さまざまな雑事も発生。乳幼児医療制度を使えば、医療費の実費負担はわずかで済みますが、交通費、駐車場代、紙おむつや経口補水液の代金、他の家族の世話をしてもらった謝礼等々、出費もかなり増えることになります。

ロタウイルス胃腸炎は「ワクチンで予防」が世界の常識です

感染力が強いため、衛生状態に気をつけても予防が難しいロタウイルス。何度か感染すると免疫がついて、胃腸炎の症状は軽くなりますが、赤ちゃんが初めて感染すると激しい下痢やおう吐となり、看病する家族にも大きな負担がかかります。 実は、かかると赤ちゃんも家族もたいへんなロタウイルス胃腸炎を予防するワクチンが、世界120か国以上ですでに認可されています。入院を必要とするような重症なロタウイルス胃腸炎は、ワクチン接種によって大多数を防ぐことができると考えられています。
WHO(世界保健機関)では、ワクチンによるロタウイルス胃腸炎の予防を奨励しています。すでに海外で多くの赤ちゃんが接種してその効果と安全性が確かめられていることから、2011年7月、日本でもようやく承認され、11月に発売となりました。

予防は?

日本でもロタウイルスワクチン接種できるようになりました。

ただし、残念なことに接種対象者は限定されており、生後6週~32週までの赤ちゃんにしか投与できません。ママからもらった免疫がなくなる、生後3~6か月までにワクチンを接種して、予防しましょう。

ロタウイルス胃腸炎予防ワクチンは、ロタウイルスの病原性を弱めてつくられた経口生ワクチンで、甘いシロップ状に仕上げてあります。ワクチンは、チューブ式の小さな容器に1回分が入っていますので、それを赤ちゃんに飲ませて接種します。

ワクチンを接種すると、赤ちゃんのおなかの中でロタウイルスに対する免疫がつくられます。そのため、ロタウイルスに感染しても胃腸炎を発症しない、または発症しても点滴や入院が必要になるほどの重症化をほとんど抑えられることが国内外の臨床試験などで確かめられています。また、胃腸炎を起こすロタウイルスには年や地域で流行がありますが、免疫がつくと、流行のタイプに関係なく赤ちゃんがロタウイルスから守られることも確かめられています。