食物依存性運動誘発アナフィラキシー

 

 

Q1:「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」とは、どういう病気ですか?

 

A:特定の食物摂取後に運動することによってアナフィラキシー症状(アレルギーの暴走ともいえる)を呈

  する場合を”食物依存性運動誘発アナフィラキシー”といいます。

  

  臨床症状としては、

  皮膚症状:全身の熱感、掻痒感に引き続き、紅斑、じん麻疹、血管性浮腫など

  消化器症状:腹痛、下痢、嘔吐など

  重症例では、喉頭浮腫による呼吸困難、曖声、喘鳴、気管支攣縮による喘鳴・呼吸困難、ショックに

  よる血圧 低下、意識消失など生命の危険を伴うこともある。

 

  運動誘発アナフィラキシーは、運動刺激が神経を介して肥満細胞からケミカルメディエーターを放出さ

  せることにより発症するといわれていますが、その仕組みについてははっきりとはわかっていません。

 

Q2:どういう食品が原因となるのですか。またどのような特徴がありますか?

 

A:コムギ、工ビ(とくに、植物油で調理している場合が多い)などを摂取後、2~3時間以内に運動す

  ると、上の症状が出現してくるのです(長くても24時間内)。原因食物は他に、カ二、イカ、貝類、

  果物(ブドウ、モモ)も報告されています。運動の種類はランニング、テニス、サッカ―など比較的激

  しい全身運動をおこなった時が多いようです。しかし、歩行、掃除など軽い運動によっても引き起こさ

  れることがあります。運動の種類、強度はさまざまです。好発年齢は、10歳代の思春期で男性に多い

  ようです。また以前に食物摂取の関連に気付かれていないが、運動後にじん麻疹やアナフィラキシー

  症状を経験しているものが多いようです。

 

Q3:ではその対策はどうすればよいのですか?

 

A:本症の既往のある者に対しては再発の予防することがとくに大切です。

  1)原因と考えられる食物を摂取しないこと

  2)食事摂取直後、特に2~4時間以内の運動を制限する

  3)運動中に熱感、皮膚掻痒感、紅斑、じん麻疹などの初期症状を認めた時は直ちに運動を中止する

  4)万―、初期症状が出た場合は、早めに校医なり近医なりを受診して治療を受ける

 

ある特定の食物を食べた後2~3時間以内に運動するとじんましんや呼吸困難、血圧低下等の急性アレルギー症状(アナフィラキシー)を起こすことがあります。これは食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)と呼ばれ、運動によって原因食物の吸収が増加して起こるといわれています。小麦はFDEIAを起こす原因食物の56%、成人では85%と最も高率です。

 

小麦のアレルゲンはアルブミン・グロブリン等の水溶性蛋白質とグルテンと呼ばれているグリアジン・グルテニン等の不溶性蛋白質の2つに大別されます。特異IgE検査では「小麦」「グルテン」が該当します。また、小麦によるFDEIA(WDEIA)ではグリアジン(特にω-5分画)が関与していると考えられ、

❗️特異IgE検査「ω5-グリアジン」は小麦依存性運動誘発アナフィラキシーWDEIAの診断に有用です。❗️