発熱時の対処法は?

ヒブ・肺炎球菌ワクチンをまだ受けていない

生後3ヶ月未満の赤ちゃんの発熱は要注意!

 

  生後3ヶ月未満で38℃以上の熱が出た場合は要注意です。

 

風邪は引きにくい

この年齢の赤ちゃんは、ウイルス性の風邪に対しては、まだお母さんからもらった抵抗が体の中に残っているので風邪を引きにくいのです。ですから、この年齢で熱を出した場合は細菌による熱の可能性を常に考えなければなりません。

 

細菌による熱であった場合、怖い場合がある

この年齢は、ウイルスに対しては先ほど述べた理由でどちらかというと強いのですが、ヒブ・肺炎球菌ワクチンをうけていない赤ちゃんは、細菌に対しては非常に弱いのです。ですから熱の原因がウイルスによるのか、細菌によるものなのかを見極めなければなりません。

 

診察だけでは安心できない

診察にてある程度はウイルス性の風邪なのか、細菌の感染なのかの見極めはできるのですが、3ヶ月未満というのは、まだ表情、診察からそれを察知することが難しく、見た目に元気にしていて問題なさそうであっても重症の細菌感染症だった、なんてこともありますので慎重に対応しなければなりません。そのためには検査が必要になります。


生後3ヶ月以上のお子さんであれば、熱だけの症状であれば、熱が高くても、あわてて急患を受診する必要はありません。


発熱したら・・・・・

熱が出た

 

 発熱の多くは、風邪などのウイルスの感染によっておこりますが、そのほとんどヒトのもつ防御能力により自然に治すことができます。「熱が高いと脳がやられる!」と、いまだに間違った考えをお持ちの方がおられますが(おじいちゃんおばあちゃんに多いですが)、病気で出る熱はせいぜい40℃くらいですので、それくらいの熱では脳はやられませんので安心してください。また、熱の高さと病気の重症度は比例しませんので、熱が高いからといって重症な病気とは限りません。

 

 

どうしたらいいの?

 

 熱の上がりはじめは手足が冷たくなり、寒がるときがありますので着るものを一枚着せてあげるか、布団を一枚掛けてあげてください。体温が上がりきってしまった後は今度は暑がりますので、着る物や布団を調節し、熱がこもらないようにしてあげてください。厚着をさせたり、毛布で包み込んだりすると、熱の放射を妨げ、さらに体温が上がりますので絶対にしないでください。

 熱があるときは、普段以上に水分が体から失われやすいので、食べ物よりも水分補給のほうが非常に大切です。水分を十分与えるようにしましょう。水分がとれていれば、食欲がなくても大丈夫なことがほとんどです。

 

 

どういうときに熱を下げてあげればいいの?

 

 解熱剤は、熱による辛さを軽くしてあげるための薬であって、病気を治す薬ではありません。本人が遊ぶ元気があり、笑顔がみられ食欲もあれば、解熱剤を使わずに様子をみてよいでしょう。次のようなときは解熱剤を使ってあげましょう。

 

・夜、熱が高くて機嫌が悪かったり、眠れそうもないとき

・きつくて水分をあまり欲しがらないとき

 

 

熱をさげてあげるにはどうすればいいの?

 

 ヒトの脳の視床下部というところには体温調節中枢(体温の調節をつかさどるところ)があります。細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入すると、その病原体をやっつけようとしていろんな化学物質が産生されます。その化学物質のひとつにプロスタグランジンという物質があり、このプロスタグランジンが体温調節中枢に作用して体温を高く設定します。するとその指令が全身に伝わり、体温を上げるために、皮膚の血管を収縮させて熱の放散を抑え(熱の上がりはじめに手足が冷たくなるのはこのためです)、全身を震わせることにより熱を産生し体温を上げようとします。(熱の上がりはじめに震えるのはこのため)ですから、熱を下げてあげるには、このプロスタグランジンの産生を抑えて体温調節中枢の設定温度を低く修正してあげる必要があります。それをするのが解熱剤の役目なのです。解熱剤を使って体温調節中枢が低い温度に修正されると、その指令が全身に伝わり、血管を拡張させ熱の放散を行い、汗を出して汗の蒸発による熱放散を行います。(熱が下がりはじめると汗をかくのはこのためです)

 

 ちょっと話が長くなりましたが、以上の理由で熱を下げるには解熱剤を使います。

坐薬でも飲み薬でも効き目は同じです。吐いている場合は坐薬を、下痢のときや坐薬が嫌いなお子さんは飲み薬を。坐薬の解熱剤と飲み薬の解熱剤は同じ成分ですので、同時に使ってはいけません。

 

 

 

ひやしてあげていいの?

 高熱時には水枕や氷枕、冷却剤(冷えピタとか)などで頭を冷やすと気持ちがいいものですので冷やしてあげることはよいのですが、熱を下げる目的であればあまり意味がないかもしれません。お子さんが嫌がるときは無理に冷やさなくてもよいでしょう。

 解熱剤を使用せずに体を冷やしても、前述の様に体温調節中枢は高い設定温度を保とうとしてさらに熱産生を増やすばかりで、体温は下がりません。解熱剤を使わずに氷で腋窩や鼠径部を強力に冷やして熱を下げようとするのは、いわばガスコンロの火をつけたまま、鍋のお湯を冷まそうと氷を放り込むようなものです。お鍋のお湯を冷ますにはガスコンロの火を弱くしなければなりませんよね。弱い火に調節してくれるのが解熱剤です。

 

  熱を下げるのに冷やすことが有効なのは熱中症(日射病など)など、体の外からの熱により体温が上昇した場合です。

 

 

部屋の温度はどれくらいがいいの?

 

 暑くもなく寒くもなく適温で結構です。エアコンを使用しても結構です。ただ、直接冷気があたりますと、反射により手足の血管が収縮して体温が逆に上がることになりますのでこれは止めてください。

 

 

お風呂ははいっていいの?

 

 病気のときはお風呂に入れないというのが、今までの習慣になっているようです。しかし、お風呂に入ったら病気が悪くなるという証拠はありません。毎日お風呂に入るのが当然という今日では、お風呂に入った方が気持ちよく寝られるということもあります。大切なことは何が本人にとって快適かではないでしょうか?

 

1. 熱があっても機嫌が悪くなければ、お風呂に入れても結構です。

2. 咳や鼻水があっても結構です。

 3. 清潔にすることを目的として、短時間にしましょう。シャワーでもかまいません。