嘔吐物・下痢便の処理について

嘔吐物・下痢便の処理について 

  嘔吐下痢ウイルス感染症の場合、その嘔吐物や下痢便にはウイルスが大量に含まれています。そしてわずかな量のウイルスが体内に入っただけで容易に感染します。 また、ウイルスは塩素系漂白剤でなければ消毒できません(細菌感染によく用いられる塩化ベンザルコニウム(商品名:オスバン等)は無効ですし、アルコールも効果が低い場合が多いです)

下痢便へのウイルス排泄は約10日間続きますのでその間注意が必要です。 

 

処理方法 

マスク・手袋(この場合の手袋は清潔である必要はなく、丈夫であることが必要です)をしっかりと着用し(処理をする方の防御のためです)、雑巾・タオ ル等で吐物・下痢便をしっかりと拭き取ってください。拭き取った雑巾・タオル はビニール袋に入れて密封し、破棄してください。拭き取りの際に、嘔吐物や下痢便を予め漂白剤に浸したペーパタオル等で覆い、ビニール袋を介してタオルごと拭き取るという方法はよく用いられています。なお、拭き取りによっても飛沫が発生しますので、無防備な方々は絶対に近づけないでください。その後薄めた塩素系漂白剤(200ppm以上:ハイター等の家庭用漂白剤では200倍程度)で吐物や下痢便のあった箇所を中心に広めに消毒してください。  

 

*次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)には濃度が200ppmでは5分間、1000ppmでは1分間程度浸すことによって、ウイルスをほぼ死滅させる消毒効果があるといわれています。もっとも、嘔吐物や下痢便そのものは有機物が豊富にあり、このような薄めた漂白剤では効果は期待できません。その場合は塩素系漂白剤の原液を直接用いることになりますが、使用場所に塩素ガスが発生しますので、集団生活施設や病院では奨められません。    

 

おう吐物や下痢便などで汚れた衣類は大きな感染源です。そのまま洗濯機で他の衣類と一緒に洗うと、洗濯槽内にノロウイルスが付着するだけではなく、他の衣類にもウイルスが付着してしまいます。おう吐物や下痢便で汚れた衣類は、マスクと手袋をした上でバケツやたらいなどで、まず水洗いし、更に塩素系漂白剤(200ppm以上)で消毒することをお勧めします。いきなり洗濯機で洗うと、洗濯機がノロウイルスで汚染され、他の衣類にもウイルスが付着します。もちろん、水洗いした箇所も塩素系漂白剤で消毒してください。なお、幼稚園、保育施設、学校等では不用意に衣類を洗浄することによって、 かえって施設内に大量に感染者を増加させてしまった例がこれまでしばしば認められてきました。原則的に、子どもたちの嘔吐物や下痢便が付着した衣類は洗浄せずにそのままビニール袋に入れて密封し、保護者の方に持って帰ってもらうことをお勧めします。 

 

塩素消毒の方法

次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めて「塩素消毒液」を作ります。なお、家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。


濃度によって効果が異なりますので、正しく計りましょう。


食器、カーテンなどの

消毒や拭き取り

200ppmの濃度の塩素消毒液

嘔吐物などの廃棄

(袋の中で廃棄物を浸す)

1000ppmの濃度の塩素消毒液

製品の濃度

液の量

水の量

液の量

水の量

12%

5ml

3L

25ml

3L

6%

10ml

3L

50ml

3L

1%

60ml

3L

300ml

3L

★市販の漂白剤は約5~6%です

製品ごとに濃度が異なるので、表示をしっかり確認しましょう。

次亜塩素酸ナトリウムは使用期限内のものを使用してください。

 嘔吐物などの酸性のものに直接原液をかけると、有毒ガスが発生することがありますので、必ず「使用上の注意」をよく確認してから使用してください。