真性包茎の治療
乳児は原則として経過観察でよいですが、尿路感染症や膀胱尿管逆流のある場合は保存的治療を行ないます。
幼児で包皮口の直径が5mm(5円硬貨の穴のサイズ)かそれ以上あれば、将来的にほぼ100%自然に治りますので経過をみます。
包皮口がピンホール状に狭い場合は保存的治療を行ないます。
保存的治療を1ヶ月間おこなっても効果がまったく認められない場合は手術療法をおこなう場合があります。
保存的治療
包皮を指でペニスの根元方向に引っ張って、包皮口に少量の軟膏を塗ります。包皮はお子さんが痛がらない程度に強くひっぱり(皮膚がテカテカするまで)、包皮口をなるべく広げるようにするのが効果的です。
軟膏は包皮の表面というよりはできるだけ内側にすりこむようにして下さい。
ステロイドの軟膏ですが、1~2ヶ月で5g程度なので副作用の心配はありません。
毎日1~2回行って下さい。
約2週間で効果が現れて包皮口が広くなり、約1ヶ月で70%以上の人がむけるようになってきます。
完全にむけるようになったら軟膏塗布は中止しますが、包皮をむくのは当分の間は続けます。(数日に一回、入浴時などに)
この方法を中止後に包皮口がまた狭くなることがありますが、その場合は再度同じことを行なって下さい。
この方法は何歳のお子さんに対しても有効です。
手術療法
かつては手術療法(環状切開術)が一般的でしたが、上記の保存的治療が登場してからは手術をするひとは激減しました。
手術の適応あるお子さんは
・5、6歳以上で包皮口が狭く、保存的治療でまったく効果のみられない場合
・思春期後の真性包茎
・ 嵌頓包茎をおこした場合
医学常識のウソ?ホント?
Q:包茎はむいてあげたほうがいい!?
A:答えはNOです!
これまで亀頭包皮炎の予防として、積極的に亀頭と包皮の癒着をはがし恥垢を除去することが推奨されていました。しかしながら、亀頭と包皮を無理にはがすことで、亀頭および包皮に炎症を生じ、再び癒着さらには包皮の瘢痕化を来す危険性が高いことがわかってきました。また、無理にむいたときの包皮の傷から細菌の感染をおこす可能性も危惧されております。
そのようなことから、現在では無理に包皮をむく処置は行なってはいけないという意見が主流を占めてきております。
しかしながら、器具を用いて包皮剥離を行なうことを堂々と載せている医学書やインターネット上の意見もあり、そのような乱暴な処置が未だに一部の外来治療で行なわれているのが現状です。