いわゆる風邪はほとんどがウイルス感染によるものだということは、当院をかかりつけにして下さっている賢いお父様、お母様方ならすでにご存じのことと思います。
この風邪のウイルスは数百種類の型が存在します。これらの数多いウイルスの中でウイルスをやっつける薬(いわゆる抗ウイルス薬)があるのは、
インフルエンザウイルス, 水痘帯状疱疹ウイルス(水痘や帯状疱疹の原因ウイルス), ヘルペスウイルスだけ です。
ですから、これら以外の風邪ウイルスに感染したと思われる場合に出すお薬というのは、ウイルス自体をやっつけるお薬ではなく、
そのウイルスに感染したことによる症状(咳や鼻水、嘔吐や下痢など)を和らげるお薬を風邪薬と称して出しているのです。
ここを勘違いしているお母様方が多いようです。
ということは、
「熱が出る前に早めに風邪薬を!」と受診されるお母様がおられますが、残念なことに早めに風邪薬を飲んでも、咳や鼻水が出ている時点ではすでにウイルスに感染しているので、風邪薬を早めに飲んだところで熱がでないように防ぐことは不可能なのです。
当然抗生剤を飲んだところで下がりません。(抗生剤は細菌をやっつけるお薬ですのでウイルスには効かないことは当院かかりつけの賢いお父様、お母様方ならすでにご存じのことと思います)
また、風邪のウイルスの中には、アデノウイルスや突発性発疹のウイルスのように熱だけのウイルスや夏風邪のウイルスのように喉が少し赤いか口内炎ができるだけで、咳や鼻水の症状がでないウイルスもあります。(ヘルパンギーナや手足口病などの夏風邪のウイルスがそうです)。このような風邪のウイルスに感染した場合は、当然のことながらウイルスをやっつけるお薬はありませんので解熱剤だけで自然に熱が下がるのを待つしかないのです。
それなのに、薬がないことに不満そうに帰って行かれるお母様方が時々おられますが、こちらとしても咳や鼻の症状もないのに薬の出しようがありませんので、その点をご理解下さい。
当然、細菌感染が疑われるときは抗生剤を処方いたします。
たとえば、風邪の症状でも膿性の鼻水が長引いている場合や、中耳炎を合併している場合、咳がだんだんひどく気管支炎や肺炎の疑いがある場合など、ウイルス感染に加え細菌の感染も一緒に悪さをしているような場合は抗生剤が必要になります。
抗生剤を出さない方針ではありませんのでお間違いなく。
すべてのウイルスに対するワクチンがあれば予防できるのでしょうが、数百種類もウイルスの型が存在するウイルスに対しワクチンを作ることは事実上不可能ですし、もし仮にワクチンができたとしても何百回も予防接種をしなければならずそんなことは不可能です。
ただ、普通の風邪のウイルスはワクチンで予防が必要なほどの重大な症状や弊害は出ませんので、自らの免疫力でウイルスを退治できるのです。
ですから、かかると大変なウイルスに対してだけワクチンがつくられているのです。
ワクチンで予防できるウイルス
■ 麻疹ウイルス(死に至ることもある怖いウイルスです)
■風疹ウイルス(妊婦さんが感染するとおなかの赤ちゃんに奇形などの影響が出ることがあります)
■日本脳炎ウイルス
■水痘ウイルス(大人になって帯状疱疹に苦しめられる可能性があります)
■ おたふくかぜウイルス(難聴になることもある怖いウイルスです)
■ ロタウイルス(嘔吐下痢の原因ウイルスで乳幼児は脱水により点滴や入院が必要になることが多いです)
■ RSウイルス(心臓病や未熟児で生まれたお子さんには接種の適応あり)
■ HPV(子宮頚癌の原因ウイルス)
■ インフルエンザウイルスA型、B型