流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)とは?

みずぼうそう&おたふくかぜの予防接種は任意接種だからうけなくていいと誤った解釈をしているお母様がおられるようですし、「かかったほうがいい」と、とんでもないうわさを信じて予防接種をしない恐ろしいお母様がいまだにおられるようです。かかったら怖いからワクチンが開発されたのです。

みずぼうそう&おたふくかぜの怖さを知って、是非、お子さんにワクチン接種してあげて下さい。

1歳になってMR(麻疹風疹混合ワクチン)との同時接種がおすすめです。

 

おたふくかぜとは?

ムンプスウイルスというウイルスが原因です。唾液を介した飛沫感染または接触感染です。

 

感染力は思いのほか強く、同居家族で97.4%、学校などの同一クラスでは89.5%と高率に感染していると報告されています。

 

世界の多くの国では、おたふくかぜワクチンを定期接種で2回受けているので、流行はあまりありません。しかし日本では、任意接種ワクチンで接種費用が自己負担のうえ、1回だけ接種する習慣になっています。どんな病気なのかもほとんど伝えられていません。そのため、平均すると毎年約60万人がかかって、多くの子どもが重い合併症で苦しんでいます。

 

症状は?

潜伏期間(接触して発症するまでの期間)は、16~18日と長いです。耳下腺の腫脹が主な症状で、両側はれることが多いですが、25%は片側しか腫れません。約30%は不顕性感染といって腫れることなく、知らない間にかかっていることがあります。

熱は微熱くらいしかでないことがほとんどです。

 

 

治療は?

ウイルスが原因ですので、抗生剤は効果なく特効薬はありません。(抗ウイルス薬があるのはインフルエンザウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルスだけです)

予防接種をしてかからないように予防するしかないのです。

安静にして、腫れが引くまで自然に治るのを待ちます。

腫れが引くまでは人にうつすので、耳下腺、顎下腺、舌下腺の膨張が発現してから5日経過し、 かつ全身状態が良好になるまでは保育園・幼稚園・学校などはお休みです。

 

合併症は・・・

 ■無菌性髄膜炎・・・10~15%  

 症状は発熱、頭痛、嘔吐です。

 ■脳炎・・・・・・・1/5000~6000(0.02%)

 年間30がかかり、障害が残ったり死亡することもあります。

 ■難聴・・・・・・・1人/数100人(以前は1人/1~2万人

以前の発生頻度は1万人~2万に1人と言われていましたが、最近の報告で400~700人に1人との報告もあります。突発性難聴の7%がおたふくかぜによるとの報告もあります。難聴は通常片側性であり、かなりの難治です。この苦しみは不自由がない人にはわかりにくいと思いますが、我が子が難聴になることを考えてみてください。

 睾丸炎・・・・20~25%(思春期以降で)

 思春期以降の男性では14~35%の頻度で睾丸炎・副睾丸炎がみられますが不

 妊の原因には稀にしかなりません。

 ■卵巣炎・・・7% (思春期以降で)

 思春期以降の女性では卵巣炎や乳腺炎の報告があります。

 膵炎・・・・6%  

 膵炎の合併は稀です。時に重症化しますが7日ぐらいの経過で回復します。

 

「予防接種をしたのにかかった」という話を耳にしますが・・・

耳下腺が腫れる病気がおたふくかぜ以外にもあるので、このような誤解を招いています。おたふくかぜ以外のウイルスや、細菌が耳下腺に入り込んで腫れる場合などがあるからです。おたふくかぜワクチン効果は90%前後ですので、予防接種を受けていればかからないと考えてよいでしょう。

反復性耳下腺炎という病気もあります

生まれつき耳下腺から口の中につながる唾液腺の管の異常があり、口の中の細菌が耳下腺に入り込み、何回も耳下腺炎をくりかえす人がいます。

また、シェーグレン症候群というまれな病気の症状のひとつとして耳下腺炎を繰り返すことがあります。

予防は?

おたふくかぜワクチン(任意接種)で予防します。

1歳で1回、1回目の接種後3~5年たったら2回目を接種するのがおすすめです。

 

最後に・・・

「かかったほうがよい」という、とんでもない噂があるようですが、無菌性髄膜炎の合併率の高さ、難治である高度難聴の後遺症を考えれば、集団生活が始まる前にワクチン接種して、かからないようにしておく方がよいに決まっています。