~ 母乳と薬 ~
お母さんが病気になったときの授乳は、お母さんの病気の程度をまず考えましょう。授乳するのもつらいようなときには無理してお乳をあげなくてもよいと思います。
お母さんが病気でも授乳ができるようならば積極的にお乳をあげましょう。
お母さんがカゼをひいたときは、お乳をあげてもあげなくても同じ家にいる限りは赤ちゃんにはうつってしまいます。しかし、お母さんがかぜから治るのはいわゆるかぜ薬を飲むからではなく、かぜのウイルスに対してお母さんの体に抗体などの免疫ができてウイルスを殺してしまうから治るのです。赤ちゃんは母乳を飲むことによりこの免疫の一部をもらいます。それにより赤ちゃんのカゼが治るのが容易になるわけです。ですから、赤ちゃんにとっては母乳を飲み続けることが有利になります。
カゼでお母さんがどうしてもつらいときにはかぜ薬を服用しても構いません。お母さんが服用した薬の1/100~1/1,000が吸収されてお母さんの血液に出てきます。そのうちの1/10~1/100がお乳に出ます。赤ちゃんがお乳を飲むとまたそのうちの1/100~1,000が赤ちゃんの血液に出ることになります。つまり、お母さんが服用した薬の1/10000~1,000,000が赤ちゃんの血液に出るということになります。普通はこの程度の量で赤ちゃんに悪影響を及ぼすとは思えません。
そう考えますと、その他のお薬(下痢、便秘、頭痛、膀胱などの急性の症状を抑えるお薬)も服用しても赤ちゃんに悪影響を与えることはないのです。
気をつけなくてはいけないお薬はお母さんが長期的に服用するお薬で、てんかん、うつ病、精神分裂病などのときに服用するお薬の一部、抗がん剤、免疫抑制剤などの特殊な薬ということになります。
それでも、赤ちゃんへの薬の影響が心配な場合、お薬はお乳を赤ちゃん飲ませた直後に服用することで、赤ちゃんに移行する量を減らすことができます。もし、どうしても赤ちゃんにお乳を与えられないような場合でも、お薬を飲まなくてすむまでの間それまでの授乳時間ごとにお乳を搾って、出が悪くならないように手当を続けましょう。